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子どもに入れた坐薬が出てきた!?対応する方法

お母さん
お母さん

子どもに入れた坐薬が出てきた!どうしよう?

薬剤師をやっていてよく聞かれる質問です。

せっかく入れた坐薬が出てきてしまったら、どうしよう?と思うのは当たり前だと思います。

「なるべく排便を済ませてから」なんて言うこともありますが、2歳以下の子に「うんちをしてね」と言っても「うん、わかった」と言って排便をやってくれる子はまずいないですね。

出てきたときは仕方がないです。出てきてからどうするのかが大切なのです。

今回は坐薬を入れた後でてきてしまった場合、どのように対応するべきかをまとめてみました。

坐薬の種類によって対応が変わる

坐薬と一言で言っても役割が違うものが多いです。世の中には坐薬と言われるものがたくさんありますが、特に子どもに使われるものを中心にまとめました。

大きく分けて3つ紹介します。

①解熱剤

最も処方される頻度の高い坐薬です。

言葉の通り熱が高い時に使用すると熱によるしんどさを和らげてくれます。

②吐き気止め

吐き気止めは胃腸風邪などを起こした時に処方されることがあります。

頻回に使用して良いものとは言い難いですが、食べ物や飲み物が喉を通らない時などは使用するのもやむを得ません。

③けいれん予防薬

熱性けいれんを頻回に起こすようなお子さんの場合は処方されていることが多いです。

通常は37.5℃を目安に使用します。


使う頻度は上記の3種類でほぼ9割5部以上ではないかと思います。

今回はこれら3種類の坐薬について解説していきます。

解熱剤:入れ直すかの分かれ目は「15分」

アセトアミノフェンの坐薬が多いです。

製剤により若干の差はありますが、おおよそ同じと考えて良いと思います。

カロナール坐剤を例に見ていきましょう。

坐薬が出てきてしまった時に再度入れるか入れないかを決める根拠を示したのが下のグラフです。坐薬を入れてからどれくらい時間が経てばどれだけ体に入っているかが分かります。

医薬品添付文書 カロナール坐剤 より



カロナール坐剤はお尻に入れてからおおよそ1時間で全て吸収されることがわかります。

1時間以内の部分をもう少し拡大してみたのが下のグラフになります。

グラフから判断すると

坐薬を入れてから15分後では、まだ25%ほどしか吸収されていません。
坐薬を入れてから15分以上経つと急激に吸収されていくのが分かります。

投与30分で8割がた吸収されるのがわかると思います。

グラフを基にし、解熱剤を再度入れるか入れないかの結論

分かれ目は15分

15分以内に出てきた場合は新しいのをもう一度挿入しても良いと考えられる。

15分以上経過していた場合は、新しいものを使わずに様子を見る。

上記はあくまで著者の結論であり、挿入後20分でもグラフを見ればそれほど吸収されていないから大丈夫ではないか?と言う考え方もあるでしょう。

このようなグレーゾーンでは保護者が各々自己の倫理に従って再度挿入するかしないか決定するのもありだと考えます。

吐き気止め:入れ直すかの分かれ目は「30~45分」

吐き気止めは過量投与では副作用が出やすいです。

  • ものが飲み込めなくなる
  • よだれが垂れる
  • 手が震えている
    など

吐き気がひどい場合は、何も食べられず、水分も摂れない状態も想定されます。自宅で様子を見ずに病院へ受診したほうが良いこともあります。

無理に「坐薬に頼りすぎない」と言うことが肝心です。

上記を前提とした上で、坐薬が出てきてしまった時に再度入れるか入れないかを決める根拠を示したのが下のグラフです。坐薬を入れてからどれくらい時間が経てばどれだけ体に入っているかが分かります。

医薬品添付文書 ナウゼリン坐剤 より



こちらのグラフも、投与後まもない時間が小さくて判別しづらいので、拡大したグラフを下に用意しました。

グラフからは

  • 2時間で完全に吸収が終わる
  • 投与30分後ではたったの14%しか吸収されていない
  • 投与30分以降は吸収のされ方がやや速くなっている

と言ったことがわかるかと思います。

副作用の懸念も考えて結論を出すと

グラフを基にし、吐き気止めを再度入れるか入れないかの結論

分かれ目は30〜45分

30分以内に出てきた場合はもう一度入れ直して良い

30~45分以上経過した後に出てきた場合は入れ直さず様子を見る

けいれん予防薬:入れ直すかの分かれ目は「30~60分」

けいれん予防薬はダイアップ坐剤が用いられます。

坐薬を入れてからどれくらい時間が経てばどれだけ体に入っているかを下のグラフで示しています。

医薬品添付文書 ダイアップ坐剤 より



こちらのグラフも、投与後まもない時間が小さくて判別しづらいので、拡大したグラフを下に用意しました。

  • 1.5時間で完全に吸収が終わる
  • 投与30分後ではたったの37%しか吸収されていない
  • 投与60分ほどでほぼ吸収が完了する

熱性けいれん患児6人(4ヵ月〜1歳9ヵ月)にジアゼパムとして0.5mg/kg のダイアップ坐剤を直腸内投与した結果、血漿中ジアゼパムの Cmaxは 378.5±142.5ng/mL(平均±S.D.)、その到達時間は 1.54±0.71 時間(平均±S.D.)であり、ほぼ 15~30 分で 150~300 ng/mL (有効域)の濃度に達した。

中毒域は900〜1000 ng/mL以上である。

医薬品インタビューフォーム「ダイアップ坐剤」より

どんなに速くても0,83 時間(約50分)は完全に坐薬が吸収されるまでに時間がかかります。

ここで問題になるのが、「完全に吸収されているレベルでないと8時間痙攣を予防できない可能性がある」と言うことです。

吸収率を表したグラフより坐剤がでてきてしまったときの対応は以下のように考えられます。

ダイアップ坐剤が出てきたときの対応

30分以内 → 1個追加で入れる
30~60分以内 → 0.5個追加で入れる
60分以上経過後 → 様子を見る

まとめ

坐薬が出てきた時の対応の目安をまとめました。

坐薬が出てきた時の対応まとめ
  • 解熱剤:入れ直すかの分かれ目は「15分」
  • 吐き気止め:入れ直すかの分かれ目は「30~45分」
  • けいれん予防薬:入れ直すかの分かれ目は「30~60分」

以上、坐薬が出てきたときの対応でした。

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