- 柑橘系のフルーツの中で、薬に影響が出るのはなんだろう?
- グレープフルーツ以外のオレンジなども薬に影響が出るのかな?
そういった疑問に答えます。
なお、グレープフルーツと薬がなぜ一緒に服用してはダメなのかはこちらでまとめていますので参考にしてください。

目次(タップして自動スクロール)
グレープフルーツが薬に影響を及ぼすという事実がわかって以降は、グレープフルーツに含まれるどの成分が影響を及ぼすかということが探求されました。
これはシラミ潰しに探して行くしかないです。
努力の甲斐もあり、原因となる物質が判明してきました。
こんな実験をしています。
A群では薬Aとグレープフルーツジュース(GFJ)を、B群では薬Aとフラノクマリンという物質を除いたグレープフルーツジュースを用いて体に入った薬の量がどう変わるか試験をしています。

図に示したとおり、フラノクマリンを除いた時だけ、体内の薬Aの濃度が正常であるということがわかりました。つまり、フラノクマリンが含まれていると薬Aの体内の濃度が3倍にもなってしまったことがわかります。
こうしてフラノクマリンが薬に影響を与えるということがわかりました。
フラノクマリンは実は物質を表すというよりも物質の総称を表しています。
正確には「フラノクマリン類」と表現します。
フラノクマリン類の中で特に薬に影響を与える物質として分かったのが
「ベルガモチン」や「ジヒドロキシベルガモチン」という物質です。

図にあるような物質が薬に影響を与えることがわかってきました。
ぱっと見、化学でよく見る丸いの(ベンゼン環)に毛が生えたように見えますね。
原因の物質がわかれば、研究の視野がどっと広がります。
まずターゲットになったのは、グレープフルーツのどこにフラノクマリン類が多く含まれているかということです。
フラノクマリン類のグレープフルーツ中含量が測定されています。

図にも示したとおり、多く含まれる順に
果皮 > 果肉 > 種
ということがわかりました。
ですので、ジュースにする際に果皮を含まないような絞り方をすれば、薬に対する影響は少なくなると考えられます。
フラノクマリン類が果皮に多く含まれていることから、果皮を使用したマーマレードなどでもその摂取量によっては薬に影響が出る可能性が懸念されます。
フラノクマリン類の含量は、ピンクやルビー種よりもホワイト種の方が多いこともわかっています。

薬に影響が出る物質がフラノクマリン類だとわかれば、柑橘類にフラノクマリン類が含まれるかどうかを調べれば良いわけですね。
こうして調べられた結果以下のことがわかりました。

問題となるのはブンタン区のグレープフルーツとザボンだけ!
結論から言うと、グレープフルーツとザボン以外の柑橘類は特殊な事情を除くと影響はないことになります。特殊な事情とは薬固有の性質により、柑橘系との相性が悪いと言うことが挙げられます。
この例としては、アレグラ(成分名:フェキソフェナジン)が挙げられます。花粉症の薬としてアレグラは有名ですが、柑橘類やリンゴジュースなどと一緒に飲むと、効果が弱まることが知られています。
こういった特殊な例を除くと、薬に及ぼす影響で注意しなければならないのは、グレープフルーツとザボンだけとなります。

ポイントを整理します。
- 薬と一緒に摂取するのを避けた方が良いのは
グレープフルーツとザボンである。 - 特にグレープフルーツの中でもホワイト種は注意が必要
- 問題となる成分は「フラノクマリン類」である
- 「果皮」に多くフラノクマリン類が含まれる。
- グレープフルーツの果皮を使った料理(マーマレイドなど)にも注意が必要
- グレープフルーツやザボンの果皮以外にもフラノクマリン類は含まれるので摂取する際には注意が必要
となります。これらの点を守っていれば食べたものが薬に影響する可能性はひくいと考えられます。
具体的に薬とグレープフルーツの飲み合わせについては下記のサイトに詳しく掲載されていますので参考になるかと思います。
参考 お薬の飲み合わせ飲食物・嗜好品から調べる以上、薬に影響する柑橘類についてまとめてみました。